統一選挙が刻一刻と迫る中、立候補者同士の対立が一段とその激しさを増してきた感があります。
中でも槍玉にあがっているのが、大統領選の支持率でトップを走り続けているベニグノ「ノイノイ」アキノ・ジュニア上院議員とそのすぐ後ろに迫っているヴィリアール上院議員の両大統領候補に絡んだスキャンダル。
米フォーブス誌の2009年度富豪リストにフィリピンで第9位(総資産5.3億米ドル)にランクされたヴィリアール候補には、同候補を大株主とする不動産開発会社2社が国道環状5号線(通称C-5)の建設工事を通して62.2億ペソもの不当利益を得たとの疑惑が浮上しています。
上院に提出されたリポートによると、「ラスピニャスとパラニヤケ間を結ぶ道路」と「C-5拡張プロジェクト」の提案者である同候補が、もともと直線道路のはずだったこれらの道路をわざわざ自分の不動産会社が所有する土地を通るよう迂回させることによって不当に利益を得たのだそうです。
この疑惑は2008年にアナ・マリア・コンスエロ「ジャンビー」マドリガル上院議員が提起したもので、現在では上院議会の統括委員会で審議が行われています。マドリガル上院議員はその後、大統領候補として選挙管理委員会に出馬を認められています。
一方のヴィリアール候補は26日、「疑問にはいつでも答える用意はあるが、公平な審議が行われない上院議会に応じる用意はない」と報道陣に語りました。また、同候補陣営の広報官も先述のリポートの内容について「真実を追求するものではなく、政治的要素が強い」と不快感をあらわにし、支持率でアキノ候補を追い上げている同候補を擁護しています。
そしてフィリピン国民を独裁政権から解放した偉大な英雄を両親に持つベニグノ「ノイノイ」アキノ候補。同候補にはスービック・クラーク・ターラック高速道路(SCTEx)の建設費が当初予定されていた1千570万ペソから突然3千280万ペソに跳ね上がった件に関与しているのではとの疑惑が浮上しています。
ヴィリアール候補陣営によると、アキノ候補が同高速道のターラックICをアキノ候補の一族が所有するサトウキビ農園「ハシェンダ・ルイシタ」内に建設するようアロヨ大統領に働きかけ、サイズにして600ヘクタール(600万平米)もの広大な農園内の通行権を政府に売却する際、本来なら時価にして1平米当り8ペソのところを100ペソで売却することによって不当に利益を得た、というのです。この疑惑は昨年11月に下院議会に提起され、現在審議が進行中です。
アキノ候補はこの不当利益の恩恵に直接与ったとされており、農園の担当弁護士は当初、アキノ家の所有株は全体の1%に過ぎず、34%は農作人、残りはアキノ家と親類関係にあるコファンコ家に分配されていると説明していました。
ところが後にアキノ候補が農園の4%を所有していることを自ら認め、さらに追い討ちをかけるように「農作人には法律によって農園の33%の株の保有が認められているにもかかわらず、農園で働いている6,000人もの農作人に対して実際に分配されていた株は4%以下だった」という話が暴露されています。
アキノ候補は「ヴィリアール候補は自分に降りかかっている疑惑から国民の目をそらすために私に対して根拠のない嫌疑をかけているにすぎない」と主張しており、関与を否定しています。
これらスキャンダル合戦の結末がどうなるのかはまだ分かりません。しかし、人口の多くを占める貧困層からの得票が重要になる選挙において、収賄や汚職に関するスキャンダルが当選を目指す候補者らに致命的なダメージを与えてしまう事は確か。今後の動向が気になるところです。











