アロヨ大統領が2010年1月8日、格闘技『アーニス』をフィリピンの国技とする法案を承認し、同年の国体で初めて競技会が開かれることになりました。
アーニスはスペイン語の「アーネス(arnes)」から来ており、「鎧」などの意味があると言います。地方では「エスクリマ(eskrima)」や「ガルロテ(garrote)」とも呼ばれ、2本または4本の棒を振り回しながら、叩いたり、突いたり、受け流したりする技術を使って戦います。武道としてだけではなく、棒をナイフや刀に見立てた防御訓練にも使われます。
アーニスはフィリピンだけでなく海外でも使われてはいますが、知名度ではテコンドー、柔道、空手に遠く及びません。
フィリピンの映画界ではアクション俳優のロニー・リケッツさんがアーニスの達人として知られていますが、実はハリウッドの人気映画でも使われていたことをご存知ですか?
比系米国人の武術インストラクター、ダン・イノサント(Dan Inosanto)さんが演出を担当した映画「ボーン・アイデンティティ(The Bourne Identity)」では一部のシーンでアーニスが取り入れられていました。また、ハリウッド映画「ミッションインポッシブル3」ではトム・クルーズさんが、「トゥームレイダー2」ではアンジェリーナ・ジョリーさんがそれぞれ演技を通して紹介しています。
アーニスはスペイン統治時代以前のフィリピンでは多くの人たちが武術として活用し、普及が進んでいましたが、20世紀に入ってその人気に陰りが見えてきました。
1975年、当時のマルコス政権下で大統領の右腕的存在だったフャビアン・ヴェール氏が「国家アーニス協会」を設立しました。同協会はその後1986年に「株式会社アーニス・フィリピン(ARPI)」として生まれ変わり、『忘れ去られようとしているフィリピン文化の一つ、アーニスの技術を守り、次世代に継承させる』『アーニスをスポーツとして普及させ、東南アジア大会、アジア大会、オリンピックといった大規模なスポーツ関連イベントの競技項目に含める』などを目的としています。
やがてARPIの努力は報われることとなり、アーニスは1991年と2005年にそれぞれ行われた東南アジア大会で競技項目の一つに組み込まれました。フィリピンは1991年度の大会で計14個の銀メダルのうちの10個を獲得し、2005年度の大会ではベトナムと共にメダル獲得数のトップに立っています。
また、アーニスはフィリピンスポーツ委員会( PSC)の紋章にも使われることになっています。












