土曜19052012

最終更新日時09:40:45 PM GMT+8

37年ぶりの戒厳令に賛否両論

11月23日、ミンダナオ島マギンダナオ州で発生した大量虐殺事件で、比軍と現地警察当局の共同捜査で、様々な証言から現地の有力政治家アンパトゥアン一族の住居近くから大量の銃器や銃弾が掘り起こされました。

これを受けてアロヨ大統領は先月24日にマギンダナオ州、スルタン・クダラット、コタバト市の3地域に対して非常事態宣言を発令、続いて5日に一部の地域を除くマギンダナオ州に対して戒厳令を発令しました。これにより、現地州政府と司法機能は停止されました。

共和国法第6986号では、反逆罪を「大統領または立法府の特権の全てまたは一部を奪う目的で、政府に対して公然と武力を行使することで成立する」としています。

フィリピンにおける戒厳令は、旧日本軍の監視下にあった1944年に当時の故ホセ P. ラウレル元大統領の発令から始まり、その後1972年に当時の故フェルディナンド・マルコス元大統領が発令して以来、37年ぶりとなります。

今回の発令はフィリピン全土ではなく一部に限定したものですが、故アキノ大統領によって民主主義が取り戻された現在も、比軍や政府によって多くの人権が侵害されていたマルコス政権時代の記憶が今なお深い傷跡としてフィリピンの人々の心に残っているのが現状です。

フィリピン共和国憲法第18節8条では、戒厳令発動の根拠を「侵攻または反乱が発生し、国民の安全確保の必要性が認められる場合、大統領は60日を超えない期間において、人身保護令状の権限を停止、またはフィリピン全土あるいは一部を戒厳令下に置くことができる」と定めています。

今回の戒厳令の発動では、この条項について議論が交わされています。

現在のところ、大虐殺事件の容疑者として身柄を拘束された者は60人以上に上りますが、彼らに対する扱いはあくまでも「容疑者」であり、罪が確定したわけではありません。また、戒厳令を敷く根拠となる「政府に対する侵攻や反乱」の事実もありません。これは最高裁判所のスポークスマンが6日に発表した声明でも述べており、弁護士団体、教会、そして政府の人権委員会までも同様のコメントを発表しています。

政府側が「戒厳令を敷いていなければ、迅速な容疑者の逮捕と大量な武器の摘発を行うことはできなかった」と主張している中、上院では議員の大半が反対、一方の下院では議員の大半が賛成しているなど、意見が2つに分かれています。

比商工会議所、欧州商工会議所、米国商工会議所はそれぞれ原則的に政府の決断に賛同してはいるものの、日本の経団連に当たるマカティ・ビジネス・クラブは今回の戒厳令の根拠を厳しく追求しています。

今回発見された多くの銃器や銃弾が入った箱には、比軍や警察など政府の所有物であることを示す刻印がされており、中には一介の地元有力者には入手困難と思われる高価・高性能の銃器も含まれていたそうです。このような物が一体どうやって入手できたのでしょうか。政府の倉庫から何らかの理由で持ち出されたにしろ、その事実に政府は気づいていなかったのでしょうか。早い時期に異変を察知して何らかの対策を取っていれば、戒厳令発動という最悪の事態を避けることは出来たかもしれません。

以下、エドゥアルド・エルミタ官房長官が大統領府で発表した戒厳令発布宣言書の内容全文の翻訳文です。


宣言書第1959号:一部の地域を除くマギンダナオ州において、戒厳令の発令ならびに人身保護令状の権限行使の停止を宣言する。

宣言書第1946号は、マギンダナオ州、スルタン・クダラットおよびコタバト市において無規律な暴力を抑圧するため、2009年11月24日に発布した非常事態宣言である。

憲法第18節8条では「侵攻または反乱が発生し、国民の安全確保の必要性が認められる場合、大統領は60日を超えない期間において、人身保護令状の権限行使を停止する、またはフィリピン全土あるいは一部を戒厳令下に置くことができる」と定めている。

共和国法6986号では「反逆罪とは、大統領または立法府の特権の全部または一部を奪う目的で、政府に対して公然と武力を行使することで成立する」と定めている。

マギンダナオ州の完全武装勢力は、政府軍に抵抗する姿勢をとることによって政府軍の法の執行ならびに治安・保安維持を目的とした活動を阻んでいる。

マギンダナオ州の治安は現地の司法制度や他の政府機能が麻痺している状態にまで悪化しており、州民の安全を脅かすまでに至っている。

1997年11月14日付の GRP MILFの終戦合意履行ガイドラインでは、「 GRP MILFの双方が認識している地域内において GRPの治安・保安維持あるいは MILFの安全保障以外の目的で検問を設置する行為」を敵対行為とみなしている。

よって、フィリピン共和国の大統領である私、グロリア・マカパガル・アロヨは、憲法と法律によって与えられた権限により以下を宣言する

第1節: GRP MILFの終戦合意履行ガイドラインに記されている、モロ・イスラム教解放戦線が認識している地域を除くマギンダナオ州において、戒厳令を発令する。

第2節:同様に、戒厳令の期間中は、前述の地域における人身保護令状の権限行使を停止する。

2009年12月4日、マニラ市にて署名した。

(署名)
グロリアMアロヨ
大統領

(署名)
エドゥアルド・エルミタ

官房長官




ソーシャルブックマーキング
Twitter! Yahoo!ブックマーク はてなブックマーク Google! Live! Facebook! livedoor clip Buzzurl MySpace!
Joomla Templates and Joomla Extensions by ZooTemplate.Com

最終更新 2009年 12月 08日(火曜日) 01:17

コメントを追加

不適切と判断したコメントは削除いたしますのでご了承ください。


セキュリティコード
再読込み