土曜19052012

最終更新日時09:40:45 PM GMT+8

洪水制御システムと気象レーダー

「洪水制御システムが無駄になっている」

現地の新聞にマニラ首都圏の洪水制御システムに関する見出しを見た時、そんな物がフィリピンにあったのかと驚いたのは筆者だけではないはず。

日本外務省のサイトに掲載されているODAプロジェクトページに、この洪水制御システムに関する詳細が記載されています。

メトロマニラ洪水制御及び警報システム改善計画
実施年度: 平成12年度

供与限度額: 10.48億円
案件概要: 我が国は、マニラ首都圏の洪水対策および内水排除対策に関する基本計画の策定を支援し、この調査結果に基づき、1993年に我が国の円借款事業により、洪水警報システムの構築等ソフト対策として、効率的洪水調節操作システム(EFCOS:Effective Flood Control Operation System )が完成した。このシステムは流域内および河川内に雨量計、水位計を設置し、観測データをテレメーターで統合管理局へ集中伝達させ、これらのデータ分析結果をもとに、未然に氾濫を防ぐものである。しかしながら、本システムでは流域の都市化及び人口集中に対応した精度の高い洪水予測を行うのが難しく、中小洪水に対しても十分な対応ができていなかったため、本計画により、同システムの改善・機能強化用機材の整備を行うものである。

以上、日本のODAプロジェクト(フィリピン)から。

この報道で、各方面から様々なコメントや意見が出されています。

MMDAの洪水抑制担当官は、いくつかの雨量計や水位計は稼働しているとしたうえで、故障しているものに関しては、修理コストの問題から放置されていることを認めています。水位計は修理に50万ペソが必要で、日本に発注しなければならないようです。更に、EFCOSの機器類は既に旧式で、洪水抑制プロジェクトに貢献できないと述べています。

DPWHの技師によると、雨量計や水位計のデータは橋を建築する際や当然のことながら洪水抑制には必要不可欠なのだそうです。

PAGASAは同様に、洪水抑制センターから送られるそれらのデータは、当局が発令する洪水警報に必要であるものの、2006年以降はデータを受け取っていないと発表しています。

しかしながら MMDAのバヤニ・フェルナンド長官は、「洪水警報システムが使われていない」という報道に対して、機器類は稼働しているも旧式であるため、もはや利益をもたらすものではなくなっていると説明しています。9月26日午前1時に発令したマリキナ市住民への避難勧告はEFCOSのデータを解析したうえでのことなのだそうです。

管理コストの問題から機器を放置したのは MMDA長官であると報道されていますが、「11億ペソ(約22億円)の価値があったかもしれないが今は1億ペソ(約2億円)の価値にも満たない」と本人は述べています。

災害時に政府機関の連携が取れていないということが証明されるコメントと言えるでしょう。

また PAGASAについては、ドップラーレーダーを導入すれば、より細かい気象情報を収集できると述べています。実は日本の円借款事業でドップラー機能を有する気象レーダーの設置に関する記述が日本外務省のサイトにありました。

以下は日本外務省のサイトに掲載されているフィリピンへのODAプロジェクトページに記載されている詳細です。

気象レーダーシステム整備計画(詳細設計)
実施年度: 平成20年
供与限度額: 0.23億円
案件概要: フィリピンは、東南アジアにおいて中核的な役割を担う、我が国の重要なパートナー国の一つです。我が国は、同国の持続的経済成長、貧困層の自立支援や生活環境改善に係る分野を中心に支援を行っています。本計画は、フィリピンの東部太平洋岸3カ所にドップラー機能を有する気象レーダーを設置するものであり、本件協力はその詳細な設計を行うために必要な資金を供与するものです。

裨益効果: 同計画の実施により、同国全体における台風被害の軽減が期待されます。

以上、日本のODAプロジェクト(フィリピン)から。

平成20年実施とありますので、まだ完成していないのでしょうか。

洪水抑制システムとレーダーシステムの整備、何のために日本の援助を得て導入した物なのか、日本のODAと受け入れ国の体制も考えさせられてしまう各報道でした。



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